映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』レビュー(ネタバレあり)。これぞMCUの集大成であり、最高傑作だ!

※以下の記事には、公開中の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレが含まれますので、未見の方はご注意ください。

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ファンの予想を裏切り、ファンの期待に応える。これぞマーベルの真骨頂。

ついに公開された、マーベル最新映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』。丸11年、全22作品の集大成であり、マーベル・シネマティック・ユニバースの大きな節目となる作品だ。その内容は徹底した秘密主義で公開まで秘密とされたが、その努力に値する素晴らしいものになった。

監督のルッソ兄弟は、前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』とこの『エンドゲーム』は続き物であると同時に、まったく異なったテイストの映画にしたいと語った(だからこそ、Part.1、Part.2というタイトルにはしなかった)。その言葉通り、『インフィニティ・ウォー』の雰囲気を引きずるのは冒頭の10分間までで、そこから作品の雰囲気はがらりと変わる。

サノスは再びインフィニティ・ガントレットの力を使い、6つのインフィニティ・ストーンを原子に戻してしまう。ストーンの力を使えば、消された全宇宙の生命を戻せると最後の希望を持っていたアベンジャーズは、茫然自失。ソーは怒りにまかせてサノスの首を斬り落とすが、それは何の意味も持たない。ヒーローたちは再び敗北したのだ。

そして5年の月日が流れる。

時間が飛ぶという説は(ブラック・ウィドウの髪の長さなどから)ファンの間にもあったが、まさか5年も一気に飛ぶとは!と、ちょっと驚かされた。

そこでは荒廃した世界と、敗北により変わり果てたヒーローたちの姿が描かれる。この辺はコミックの「What If?」(もしもの世界を描くシリーズ)を意識したというが、それだけにかなり思い切ったもので、特にソーハルクの変化にはびっくりした人も多いのではないか。

そんなヒーローたちに希望をもたらすのが、「元泥棒」という最もヒーローらしくない経歴の持ち主のアントマン/スコット・ラングというのが嬉しい。正に最底辺からの「逆襲」(アベンジ)である。スコットは前作『インフィニティ・ウォー』に参加しなかった分、今回は全編にわたって大活躍する。

ヒーローたちはスコットのもたらした情報から、状況を逆転するために、最後の賭けに出る。それはすなわち……「タイム泥棒」!

「タイム泥棒」──前作『インフィニティ・ウォー』はサノスがストーンを盗んで回るという「ヘイスト・フィルム(強盗映画)」のスタイルが取られたが、反対に『エンドゲーム』は、アベンジャーズたちが時間を巡ってストーンを盗んで回る話なのである。

ついにMCUにタイムスリップが!しかしその法則は複雑?

『アントマン&ワスプ』で大々的に取り上げられた「量子世界」が、タイムスリップの鍵になる。

しかし過去に戻って、赤ん坊のサノスを殺せば解決というわけにはいかない。ハルク/ブルース・バナーの説明によれば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など多くのタイムスリップを扱った映画はでたらめで、過去に行けばそこが我々にとっての未来になるので、そこで何をやっても現在には影響しないというのだ。

ただ、エンシェント・ワンによると、ストーンを移動させると別の時間軸が発生するとも言われており、本作のタイムスリップの法則はいささか観客にとっては理解困難な点になった。数少ない本作の弱点だろう。後述するが、これはラストシーンのキャップについての混乱を招くことにもなる。

ともあれ、新たな希望を見出したヒーローたちは一致団結してこれに取り組む。アイアンマン/トニー・スタークキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースとの、ファン待望の和解シーンもついに実現する。

先ほど映画の雰囲気が変わると書いたが、このあたりから映画のトーンは希望に満ちた前向きなものになる。「タイム泥棒」に伴うドタバタなど、『インフィニティ・ウォー』に比べ、演出も意図的に「ゆるく」なっているので、そこは好みが分かれるところかもしれない。これまで緊張感にあふれたサスペンスフルな作品を送りだしてきたルッソ兄弟だが、MCU以前はTVのコメディドラマで知られていた。それだけにコメディ演出はお手の物なわけで、楽しいシーンの数々に大いに笑わせてもらった。3時間超という長尺となり時間の余裕が生まれたことで、各シーンにもたっぷりと間が取られ、それだけ出演する俳優たちの演技にも幅が出ている。

ナターシャを失うという悲劇がありながらも、ついにアベンジャーズはインフィニティ・ストーンを6つ揃える。ハルクがガントレットの力を発動させ、消滅した半分の生命は復活した。しかし、物語はここで終わりではない。

そして迎える、最大のクライマックス!

「過去からのしっぺ返し」……アベンジャーズがタイム泥棒を働いたことで、過去の時間軸のサノスがそれに気づき、時をわたって攻撃を仕掛けてきたのだ。

『インフィニティ・ウォー』のサノスはついにヒーローたちに完全勝利したまま退場したが、ここで別のサノスが現れる。観客的には、やはりサノスをブチのめさなければ、すっきり終われないところだろう。

ここからビッグ3とサノスとのバトルが始まるが、ここで最も魅せるのが我らのキャプテン・アメリカである。『インフィニティ・ウォー』で活躍が少なかった鬱憤を晴らす最高のバトルが展開する。ついにムジョルニアを手にするシーンが実現したのにも感動したが、最もしびれたのはサノスに叩きのめされ、そこにさらに大軍勢が押し寄せる場面だ。

どう見ても勝ち目がない状況。しかし、それでもスティーブ・ロジャースは立ち上がり、半分砕けた盾を握り直し、なお闘志を見せる。もはや「I can do this all day(まだまだやれる)」というお馴染みの台詞さえ必要ない。キャップはどんな状況でも必ず立ち上がるのだ。能力的には決して最強クラスではないキャップが、多くのヒーローのリーダーに選ばれる理由がこの精神力である。大軍にたった一人で挑むキャップをロングショットで捉えたカットはまるで荘厳な宗教画のようで、しびれるほどの格好良さだった。

そして復活したヒーローたちが戦場に駆けつけ、ここで待ちに待ったキャップの「アベンジャーズ・アッセンブル」が!

この一連の流れは、全MC映画の中でも最もエピックな名場面であり、私が最も気に入っているところでもある。ここで、毎回泣きます。

そして終わりの時が……

そして、いよいよクライマックス。アイアンマンがサノスからストーンを奪い、悪の軍勢を一掃する。しかしその代償に、トニー自身の命も尽きるのだった。

映画を観る前から、トニーかキャップのどちらかが死ぬだろうと思っていたし、おそらくはトニーだろうとも予想はしていた。それはドクター・ストレンジの予言があったからだが、やはりMCUに一区切りをつけるのに最もふさわしいのは、MCUの始まりとなったアイアンマンだと思ったからだ。それでも一番の人気キャラクターを退場させることには躊躇いもあっただろうが、マーベルは勇気のある選択をしたと思う。

もうトニーの姿が見れないのかと思うと寂しさはあるが、不思議と悲しくはなかった。それは、トニーが(過去作でよく見られたように)脅迫観念や恐怖からではなく、家庭を持った幸福な生活の中、安定した精神状態で、それでも人々を救うためにヒーローとして行動することを決めたからだと思う。

そして映画は、キャプテン・アメリカで締めくくられる。

キャップは6つのストーンを過去に返しに行くミッションに出て、そこで自分の人生を生きるという選択をする。キャップが老いるというのはコミックでもあった展開だし、死ぬ以外で引退させるにはこれぐらいしかないだろうと思っていたので驚きはしなかったが、前述したタイムスリップの設定が気になってしまったのは確かだ。

しかし大事なのは、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』で交わされた「ペギーとのダンスの約束を果たした」ということなので、細かいことはどうでもいいのかもしれない。ラストに流れる「It’s Been a Long, Long Time」を聴くと素直に泣けてきてしまう。

そして、このラストはキャップの物語のエンディングでもあるが、同時に新たな物語の始まりでもある。何人かのヒーローの旅は終わりを告げても、MCUはまだまだ続いていくのだ。

『エンドゲーム』は過去のMCUの歴史を再訪した上で、最高のバトルで物語を締めくくった。

一般的な映画としてみれば歪な点はあるかもしれないが、マーベル映画、アメコミ映画としてみると間違いなく最高峰の作品だろう。完成度としては『ウィンター・ソルジャー』などに一歩譲るかもしれないが、それでもあえて言おう。

「エンドゲームこそが、マーベル・シネマティック・ユニバースの最高傑作だ」と。

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は絶賛上映中。

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